全国菓子研究団体連合会主催第8回技術コンテストグランプリ獲得作品が紹介されました(平成29年8月1日付 朝日新聞朝刊)

3県境またぐ地 情景描く和菓子

2017年8月1日10時8分

◇加須の関根さん 全国技術コンテストでグランプリ

全国でもまれな「平地の3県境」に近い加須市柳生で、和菓子店の「御菓子司せきね」を営む関根雅史さん(30)が7月、全国技術コンテストの工芸菓子部門で、県内初のグランプリに輝いた。県境は「街の外れ」とも言えるが「逆に魅力を感じる地でもある」。受賞作は2日から東京・池袋で展示される。

最高賞のグランプリを得たのは、大津市であった第8回全国菓子研究団体連合会の技術コンテスト。和菓子の技を磨くため、関連8団体から職人160人が参加した。関根さんは米粉と砂糖、食紅を使って四季を表現する工芸菓子で、カワセミやカワラナデシコの花を作り、夏の情景を描いた。第5回からの挑戦で最高賞にたどりついた。

旧北川辺町(現加須市)で生まれ、育った。3人兄弟の中で一番手先が器用で家業を継いだという。高校卒業後、群馬県の高崎経済大学に2時間かけて通い、企業経営では「核となる技術が重要」と学んだ。卒業後は都内の専門学校で、和菓子づくりの核である技を理論とともに習得した。

北川辺地区は加須市の中心部からは利根川を渡った北側にある。加須市と群馬県板倉町、栃木県栃木市の3県境を「ひとまたぎ」にできる地点が話題になり、3市町がPRに励む。茨城を合わせた4県にまたがる渡良瀬遊水地の自然が豊かな地でもあるが、和菓子の同業者が店をたたむなど、経営環境は厳しい。

「そういう場所だからこそ、地元の材料を使って、ちゃんとした菓子をつくりたい。他との差別化ができ、逆に魅力ある土地だと思う」

北川辺産でブランド化が進むコシヒカリを自家製粉し、菓子作りに生かす挑戦も続ける。米を中心とした和食の文化が世界的な注目を集め、和菓子もこれに続きそうだ。「この土地に根を下ろしながら、和菓子を世界に広めていくのも夢」と話す。

関根さんのグランプリ受賞作は2~7日、西武池袋本店で開かれる「真夏のスイーツフェスタ」で展示される。問い合わせは「御菓子司せきね」(0280・62・0002、火曜定休)。

(平成29年8月1日付 朝日新聞朝刊)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です